こんにちは、ペペ(@pepe2blog )です。
第92回アカデミー賞作品賞を受賞した「パラサイト 半地下の家族」を生み出したポン・ジュノ監督が手掛けたパニックムービー
“グエムル 漢江の怪物”
についての感想・考察・解説をしていきます。
この映画の見どころ(ネタバレなし)
- パラサイトのソン・ガンホ主演
- 独特な笑いの雰囲気の中進むモンスターパニック映画
- 韓国の社会問題の風刺を徹底考察
そんな本作の評価は・・
(☆1~10の10段階評価)
韓国の漢江に突如現れた怪物[グエムル]。
さらわれた娘を助けようとする家族の物語です。
「グエムル」まだ観ていない、他の映画を観てみたい方は、もっとお得に映画を観られるU-NEXTを試してみてください。
- 登録後31日間無料で鑑賞可能
- 毎月もらえる1200ポイントで有料コンテンツも観られる
- 作品数は業界最高の140,000本
※無料期間のポイントは600ポイント
この記事で紹介するポン・ジュノ監督作品も、U-NEXTなら7作品見放題で鑑賞できます。(2020年5月時点)
それでは、本作の概要・あらすじ・感想を書いていきます。
「グエムル 漢江の怪物」の基本情報
日本公開日 | 2006年9月2日 |
原題 | 괴물(guemul) |
上映時間 | 120分 |
日本配給 | 角川ヘラルド映画 |
評価 | Rotten Tomato Tomatometer: 93% Audience Score: 72% Filmarks Score:☆3.4 |
漢江から突如上陸した黒い両生類のような怪物(グエムル)は、河原の人々を捕食殺害し、露店の男カンドゥ(ソン・ガンホ)の娘、ヒョンソ(コ・アソン)を捕まえて水中へ消えた。ヒョンソは怪物の巣の下水道から携帯電話で助けを呼ぶ。一方、在韓米軍は怪物は未知の病原菌を持ち、感染したとみられるカンドゥを捕えようとする。カンドゥと一家はヒョンソを救う為に追われながら怪物を探す。
引用)wikipediaより
この記事を読んでいる方の多くは、「パラサイト 半地下の家族」を観てポン・ジュノ監督に興味を持った方でしょう。
「パラサイト 半地下の家族」は、作品賞・脚本賞・監督賞・国際長編映画賞の4冠達成したことで一躍脚光を浴びました。
本作はその13年前に、ポン・ジュノ監督とソン・ガンホ(パラサイトのお父さん)のタッグで作られたモンスターパニック映画であり、観客動員数1301万人という大ヒットを記録しました。
第92回アカデミー賞4冠の「パラサイト 半地下の家族」の感想はこちら/ペペシネマ
「グエムル 漢江の怪物」の制作陣
「グエムル 漢江の怪物」を作った最高の監督、キャスト陣を紹介していきます。
監督 ポン・ジュノ
今や世界で最も有名な韓国の映画監督となったポン・ジュノ監督。少しオタクっぽい見た目と、陽気なキャラクターのギャップで好印象です。
実はこれまでも数々の話題作を世に出しています。
- 殺人の追憶 (2003)
- グエムル 漢江の怪物 (2006)
- 母なる証明 (2008)
- スノーピアサー (2013)
- オクジャ (2017)
▼ポン・ジュノ監督の他の映画を今だけ無料で鑑賞する方法はこちら
登場人物(キャスト)
パク・カンドゥ (ソン・ガンホ)
本作の主人公。だらしなく、考え無しな典型的なダメ男。
服はだるだるで、よく背中丸出しや半ケツぎりぎりになるセクシー担当。
映画を観たとき、「パラサイトのお父さんじゃん!」って思った人多いですよね。
俳優のソン・ガンホは、ポン・ジュノ監督とは旧知の中で、これまでも多くの作品に出演しています。
パク・ヒョンソ (コ・アソン)
カンドゥの娘。
この映画で唯一のまともな人間。
だらしない親父のもとでどうやったらこんなできた子が育つのか知りたいほどいい子。
ピンチにも落ち着いていて、涙も見せないいい子。
ポン・ジュノ監督の「スノーピアサー(2013)」でもソン・ガンホ×コ・アソンの親子役を観ることができます。
パク・ナミル (パク・ヘイル)
パク家3兄弟の次男。唯一大学を出ているのに、なんかダメな感じの末っ子気質な男。無職。
特技:火炎瓶を作ること
苦手:火炎瓶を投げること
パク・ナムジュ (ぺ・ドゥナ)
アーチェリー3位入賞。(1位でも物語的には良かったのでは?)
ラストシーンではホークアイ(アベンジャーズ)もびっくりの活躍をします。
すごく美人ではないのに、なんか気になる感じの女優さん。
登場人物がおっさんばっかりだから相対的にすごく可愛く見えるのかもしれないですが・・。
「グエムル 漢江の怪物」徹底考察
「グエムル 漢江の怪物」について、徹底考察していきます。
映画を観ていて疑問に感じた点や、作中で描かれる社会風刺の元ネタを解説していきますね。
感想:グエムルが怖くない
この映画を観てまず感じたのが、「グエムルそんなに怖くないな」ということ。
前半こそ、公園に現れ死者を出しますが、現れた場所は限定的で、その後も数時間に1人をさらうのみ。日本やハリウッドの怪獣映画になれた人には少し物足りなく感じます。
「シンゴジラ(2016)」では日本の主要地域を超巨大生物が這いずり回り、数千の建物と人命を奪うまさに天災でした。
対してグエムルは、最初の大暴れのあとは比較的静か。
どこにいるかわからない、ホラー的な要素も随所に散らばされてますが、そこまで緊張感をあおるわけでもない。
終盤にグエムルの怖さを追加するために、突然大量の人骨を吐き出すシーンがあったりと、グエムルに対する圧倒的な恐怖感が少ない印象でした。
そこには、韓国映画界の持つ怪獣映画に対するスタンスの違いがあります。
韓国は怪獣映画が少ない
▲映画「プルサガリ」
そもそも、韓国には怪獣映画が多くありません。
「プルガサリ(1962)」や「宇宙怪人ワンマグイ(1967)」などはありますが、日本での「ゴジラ」「ウルトラマン」や、アメリカの「キングコング」など、誰もが知っている怪獣映画の基本形が、韓国にはないんです。
ポン・ジュノ監督はもともとは漫画家志望であったことや、日本オタクであるなどの背景もあり、自分が観てきたゴジラやウルトラマンといった怪獣映画を自分で撮りたいという思いで本作「グエムル」を撮影しました。
「グエムル」は怪獣映画?コメディ映画?社会風刺映画?
そうして出来上がった「グエムル」ですが、ゴジラやキングコングとは一味も二味も違った作品となっていました。
一番大きなポイントは「笑いを取りに行っている」ことでしょう。
- ヒボンがカンドゥの睡眠障害に関して申告に語るシーンで、兄弟2人が居眠り
- ヒョンソが死んだと思われたシーンでの家族全員でのオーバー過ぎる号泣シーン
- 登場人物の会話の中に「笑い待ち」のような奇妙な間を作っている
などなど、ソン・ガンホはじめ、全体的にオーバーリアクションで笑いを誘うようなシーンが多いんです。
もちろん話自体は、娘がグエムルにさらわれていつ死ぬかもわからないという超緊張感のある内容なのに、コメディ映画さながらに笑いの空気感がにじんでます。
初めて鑑賞すると、そのちぐはぐさに少し違和感を感じるかもしれません。
しかし、この笑いを誘う空気こそが、ポン・ジュノ監督作品の神髄ですよね。
最新作「パラサイト 半地下の家族」でも同様に、笑っていいのかいけないのかわからないブラックユーモアを散りばめたシーンが多くありました。
これは、韓国の貧富の差や差別意識等、社会問題をネタにしているからで、こうしたシーンに笑いを混ぜ込むことで独特の空気感を持つ作品となっています。
本作も同様で、韓国社会への風刺をブラックユーモアで包んだ社会風刺映画の一面も持ち合わせているんです。
テーマとなっているのは大きく2つ。
- 米国への不信感
- 貧富の差
それぞれ解説していきますね。
漢江への薬品流出の元ネタは?
この映画の冒頭、大量のホルムアルデヒドを漢江に流すシーンが描かれており、(明言はされていませんが)その影響で魚などの特別変異によって生まれたのがグエムルです。
これは、韓国で2000年に実際に起こった龍山基地油流出事件から着想を得ています。
なんと驚くことに、本当に米軍基地の霊安室副所長(当時)が、死体防腐用のホルムアルデヒドを無断流出し、ソウル市民の健康に多大な被害を与えるという事件が起きているんです。
さらに米軍は、度重なるこうした事件を隠蔽し続け、発覚した後も正式な謝罪を行っていません。
こうした背景もあり、本作では韓国人の訴えに耳を貸さない在韓米軍の強硬さや、彼らへの韓国国民の強い不信感が強く描かれているんです。
映画内では、ちょっとオーバーすぎじゃない?と思えるような軍の態度だったんですが、こうした在韓米軍への警鐘(というか文句に近い)であると考えると、納得がいきます。
エージェント・イエローの元ネタは?
「エージェント・イエロー」は、ベトナム戦争において米軍と南ベトナム軍が散布した枯葉剤「エージェント・オレンジ」を元にして作られた架空の薬品です。
「エージェント・オレンジ」は非常に高濃度な薬物であり、副作用として奇形の子供が生まれるということで非難を浴びました・・。
本作でも、米軍がグエムルの保有するウイルスに関してろくな検査もせずに、人体にも悪影響な「エージェント・イエロー」を、人がいるにも関わらず散布するシーンが描かれています。(しかも、実際にウイルスは存在していなかったことが発覚するも、米軍はこれを隠蔽!)
観ているときは、「なんだこの軍の適当な対応!やる気あんのか。」と思ったんですが、そう思ったということは、ポン・ジュノ監督の思惑通りですね。
ポン・ジュノ監督は在韓米軍だけでなく、そもそもアメリカへの強い不信感を抱いており、本作の強い反米性も認めています。
売店荒らしの兄弟の意味は?
社会風刺のもう一つのテーマが「貧富の差」。
これは、「パラサイト 半地下の家族」でもメインテーマとして取り上げられるほど、韓国においては大きなテーマとなっています。
本作ではセジン(兄)とセジュン(弟)の浮浪児兄弟が登場しますが、実際に当時の韓国では、こうした浮浪児が少なからず存在していました。
こうした貧困層が存在し、どういった待遇を受けて生活しているかが風刺されているのも、見どころの一つだと思います。その割にちょっとあっさりしすぎな感じも受けますが・・。
ポン・ジュノ監督は韓国政府からブラックリスト認定されていた!
こうした少し過激ともいえるポン・ジュノ監督の作風ですが、何と彼・・韓国政府からブラックリスト認定されてました。
保守派・右派の朴槿恵政権(2013年2月25日〜2017年3月10日)によって、ポン・ジュノは、政権に不都合な文化人に不利益を与えるとする「文化芸術界のブラックリスト(朝鮮語: 박근혜_정부의_문화예술계_블랙리스트)」に入れられていた。
引用)wikipediaより
朴槿恵政権の終わりとともにこのリストはなくなりましたが、政治的批判を含む映画を作ることへのリスクもあるようです。
ラストシーン考察
正直かなりショックなエンディングでした。
この映画の主人公・カンドゥの目的は、グエムルを倒すことではなく、ヒョンソを救うことだったんですから。
しかし、ポン・ジュノ監督は公式にヒョンソの死を名言しており、ここは考察の余地がありません。こうした、予定調和でないエンディングも、ポン・ジュノ監督の魅力ですね。
そしてふと湧いた疑問・・「ナムジュとナミルは生きている?」
先述したように、「エージェント・イエロー」は非常に危険や薬品であることは間違いなく、事実ナムジュとナミルは最後の戦闘で、鼻や耳から出血が。
そしてラストシーンには、二人の姿はありませんでした。
予想ですが、カンドゥやセジュが生きていることからも、おそらく二人は生きているでしょう。
しかし、「エージェント・イエロー」による影響は計り知れません。もしも元になった「エージェント・オレンジ」と同様の影響を持つとすれば、将来、ナムジュやナミルの子供に影響を及ぼすかもしれません。
そう考えると、死んでしまったヒョンソやヒボンだけでなく、家族全員がこの事件に巻き込まれてしまう、超バッドエンドとも考えられます。
「グエムル 漢江の怪物」徹底考察まとめ
「巨大な怪獣が韓国で大暴れ!」な映画かと思いきや
「現代の韓国が抱える深刻な問題と、反米意識を反映させた社会風刺映画」である本作。
正直、日本人としては100%の共感をするのが難しい映画だと思います。だからこそ、韓国では大ヒットを記録したのでしょう。
お得に映画を観たいなら
ここまで読んでいただいた方に映画をもっとお得に観るU-NEXTをご紹介します。
- 登録後31日間無料で鑑賞可能
- 毎月もらえる1200ポイントで有料コンテンツも観られる
- 作品数は業界最高の140,000本
※無料期間のポイントは600ポイント
この記事で紹介したポン・ジュノ監督作品も、U-NEXTなら7作品見放題で鑑賞できます。(2020年5月時点)
- 吠える犬は噛まない
- 殺人の追憶
- グエムル 漢江の怪物
- TPKYO!
- 母なる証明
- スノーピアサー
- 海にかかる霧
これらの映画がすべて見放題です。
無料トライアルに登録すると600ポイントがもらえちゃうので、有料コンテンツも観ることができます。
登録5分後にはこれらの映画を見放題です。僕は、本作をU-NEXTで鑑賞しました。
ちょっとした空き時間にレンタルショップに行くことなくすぐに観られるので、映画ライフが劇的に変わります。
登録方法がわからない方には、画像付きで超簡単に解説しているので見ながら登録すればOKです。
↓ ↓ ↓ ↓
\簡単登録で映画を鑑賞/