こんにちは、ペペです。
本格ミステリーかつユーモアにあふれた話題のミステリー映画
“ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密”
についての感想・考察・解説をしていきます。
- アガサ・クリスティーを思わせる本格派ミステリー
- 主演は激シブ名探偵!ダニエル・クレイグ
- どこまでが真実?あなたもきっと騙される。
そんな本作の評価は・・(☆1~10の10段階評価)
豪邸の主人である人気作家が死亡。容疑者はその日集まっていた家族や家政婦たち。
そこにさっそうと現れる私立探偵。
大筋はオールドスタイルな本格ミステリー。
しかし、作品内にちりばめられた皮肉やユーモア、そして選民意識が根差した人々の行動によって、物語は複雑に絡み合い、何倍にも厚みのある作品になっています。
それでは、本作の概要・あらすじ・感想を書いていきます。
『ナイブズ・アウト』基本情報
Motion Picture Artwork (C) 2019 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
日本公開日 | 2020年1月31日 |
原題 | Knives Out |
上映時間 | 130分 |
配給 | ライオンズゲート |
第92回アカデミー賞:脚本賞ノミネート
ゴールデン・グローブ賞:作品賞・主演男優賞・主演女優賞ノミネート
アカデミー賞では惜しくも脚本賞を逃してしまいました。(2020年2月10日)
脚本賞受賞は、「パラサイト 半地下の家族」
作品賞・脚本賞・監督賞・国際長編映画賞の4冠!
▶第92回アカデミー賞4冠の「パラサイト 半地下の家族」の感想はこちら
『ナイブズ・アウト』あらすじ
引用)YouTube「シネマトゥデイ」より
NY郊外の館で、巨大な出版社の創設者ハーラン・スロンビーが85歳の誕生日パーティーの翌朝、遺体で発見される。
名探偵ブノワ・ブランは、匿名の人物からこの事件の調査依頼を受けることになる。
パーティーに参加していた資産家の家族や看護師、家政婦ら屋敷にいた全員が第一容疑者。
調査が進むうちに名探偵が家族のもつれた謎を解き明かし、事件の真相に迫っていく―。
『ナイブズ・アウト』制作陣・キャスト
本作を作り上げた、制作陣とキャストを紹介していきます。
かなり豪華なキャスティングですね。
監督 ライアン・ジョンソン
「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」で、ストーリーを全く進めなかった人。
個人的には”最後のジェダイ”好きなんですが、世間的に厳しい意見があった中、本作でその不名誉を払拭しました。
また、「LOOPER (2012)」の監督・脚本も行ってます。
主人公(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が、30年後からやってきた未来の自分(ブルース・ウィルス)を殺そうとする、タイムトラベルもの。
近未来SFとしてかなり面白かったので、ライアン・ジョンソン作品を観るならこちらがおすすめ。
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登場人物(キャスト)
ブノワ・ブラン (ダニエル・クレイグ)
激シブ名探偵。
と思いきや、それっぽい顔で話を聞くだけで途中まで特に推理とかしない。
というかラスト10分くらいまで特に名探偵感はない。
それでも最後には最高の探偵っぷりを発揮するし、何より超カッコいい。
マルタ・カブレラ (アナ・デ・アルマス)
本作のヒロイン。
特技は、嘘をつくとゲロを吐くこと。
看護師として慈愛にあふれた素晴らしい女性。
ランサム・ドライズデール (クリス・エヴァンス)
くそイケメンのクリエヴァが今回はバカ孫役で登場。
リンダ・ドライズデール (ジェイミー・リー・カーティス)
スロンビー家の長女。ハリーポッターに出てきそうな見た目。
父と謎解き遊びをするのが趣味。
浮気されている。
リチャード・ドライズデール (ドン・ジョンソン)
リンダの旦那。浮気している。
隠蔽するために超必死になるも、最後にバレる。
選民意識強め。
ウォルター(ウォルト)・スロンビー (マイケル・シャノン)
スロンビー家の次男。
父・ハーランの本を出版して優雅な暮らしをしているが、その父親にクビを言い渡される。
意味深な杖を持っているが、特にトリックとかで使用しない。
ジョニ・スロンビー (トニ・コレット)
スロンビー家長男(故)の嫁。
毎年10万ドルを義父からだまし取ってるクレイジーな女性。
インスタ女王
メーガン(メグ)・スロンビー (キャサリン・ラングフォード)
ジョニの娘。
ジェイコブ・スロンビー (ジェイデン・マーテル)
ウォルトの息子。
Mattに激似。ほぼ桑田の息子。
ハーラン・スロンビー (クリストファー・プラマー)
天才ミステリー作家。
スロンビー家唯一の人格者。
グレート・ナナ・ワネット (K・カラン)
ハーラン(85歳)の母。
日本でリメイクするなら樹木希林さんしかいなかったでしょう。
『ナイブズアウト』感想・考察(ネタバレあり)
それではネタバレありで疑問点・ポイントを解説・考察しつつ感想を書いていきます。
取り調べシーンが秀逸
ブノワ(ダニエル・クレイグ)がスロンビー家を取り調べるシーン。
この映画のベストと言っていい程のお気に入りです。
会話のテンポ、音楽・ユーモア、ダニエル・クレイグがぬるっと登場する感じ。
古典ミステリーのようなのに、とてもスタイリッシュであっという間に引き込まれました。
さらにこのシーンのすごいところは、取り調べシーンの構成力です。
長女リンダから始まる取り調べですが、人がどんどん入れ替わりかなり複雑な構成になっています。
しかし、実際は順番に取り調べを行っているはずです。
その際、人は入れ替わっても、情報の順番は守られているんです。
例えば、リンダ→リチャードの順番なので
リンダから聞いたことをリチャードに聞くことはあっても、
リチャードから聞いた情報をリンダの時に話す、なんてことはありません。
あれだけ複雑に場面転換しながら、順番は変えずに構成しているってすごすぎます。
ランサムにはレプリカと本物を見分けられない
一気に飛んで、ラストシーンの引っ込むレプリカナイフ。
と胸をなでおろしたシーンですが、このシーンにもしっかり伏線がありました。
ハーランとマルタの回想シーンの会話で
「ランサムはレプリカと本物を見分けられない」という旨の会話がなされているんです。
それを踏まえてのラストシーン。
ランサムは物事の判別がつかないという自信の欠点により、最後の最後まで失敗してしまいました。
選民意識と上流意識
王道ミステリーである本作ですが、裏テーマともいえる「差別意識」について考察・解説していきます。
この映画ではたびたび、差別的な発言や態度が描写されているんです。
- アメリカ人と移民
- 金持ちと貧乏人
この2点について解説していきます。
マルタはウルグアイ系の移民
マルタはウルグアイ系の移民であり、正式な許可を受けてアメリカに居住しています。
そのため、アメリカに共住することはもちろん、仕事をすることも問題ありません。
しかし、母親は許可を受けておらず、もしもこれがバレると、ウルグアイへの強制送還。マルタは家族と離れ離れにされてしまう、という状況です。
母親が仕事できない状態で、親子三人が暮らしていくには、決して裕福ではない環境であることが想像できますね。
幸運にもマルタは、ハーランの看護師として雇われ、スロンビー家から家族同様に扱われることによって、裕福な家族の一員として過ごしていました。
スロンビー家は移民や貧乏人に差別意識
しかし、誕生日パーティーでの議論の場でも上がったように、スロンビー家の人々は移民に対して強い差別意識を持っています。
アメリカは自分たちの国であり、よそ者がその利益を享受しようとするのが許せないのです。
その感情は、遺産をすべて相続することになったマルタへも牙をむきました。
実は心の中では貧乏人として差別意識を持っていたスロンビー家。
自分たちに余裕があるうちは隠すことができていましたが、遺産を奪われるとなると豹変します。
自分たちのものを他人に奪われたくない、これがスロンビー家の考え方なんです。
アメリカ人の移民に対する姿勢への風刺
それは、アメリカ人の移民に対する姿勢への風刺として描かれているからです。
アメリカは現在、メキシコからの移民に対して強固な姿勢を貫いています。
自分たちの国(家)に、移民(マルタ)が入ってきて利益を得るのが許せないんです。
さらに、彼らの主張する財産はすべてハーランのものです。
彼の子供3人や、ましてや嫁婿や孫は、それを享受しているだけ。しかし、それを忘れて自分たちを棚に上げて、マルタを痛烈に批判しています。
こうした姿を、もとは自分たちもアメリカへの移民であることを棚に上げて、メキシコ人移民を批判するアメリカの姿を風刺しているんです。
こうした富裕層と貧困層の対比は、第92回アカデミー賞を受賞した韓国映画「パラサイト 半地下の家族」でも描かれています。
近年、世界中でこうした問題提起した作品が増えており、社会問題として重要視されていることが伺えます。
関連記事▶【パラサイト 半地下の家族】息子が敬語を使う理由は?ネタバレ感想【疑問を解説】
我が家、我がルール、我がコーヒー
本作のOPとEDを飾る象徴的なフレーズ。
”My house, My rule, My coffee”
ハーラン・スロンビーのコーヒーカップに書かれているこの文章は、物語に登場する家・財産すべてがハーランに属するものであることを象徴しています。
そして、最後のシーン。
マルタがこのコーヒーカップを持ちながら、バルコニーからスロンビー家を見下ろします。
マルタが遺産のすべてを手に入れたことを表していました。
コーヒーカップだけでなく、バルコニーと地面という高低差によって、立場を明確に映し出したシーンでしたね。
結局、物語の中でスロンビー家が財産(コーヒーカップ)を得ることはありませんでした。
物語のその後は
最後に巨万の富を得たマルタ。
この遺産をどうするんでしょうか。
マルタを移民と捉えて、富を得たとするのならば、これらを自分のものとして独占する、といういうのがコンセプト的には正解な気もしますが・・
おそらく彼女は遺産を分配するでしょう。
母親が未認可の移民であることをばらしたメグすらも、まったく責めなかった彼女ですから。
これでスロンビー家が改心することを祈るばかりです。
曾祖母グレート・ナナはどこまでわかっていた?
割と今回の事件解決のカギを握っていた人物、曾祖母グレート・ナナ・ワネット。
彼女は基本的に”ボケ老人”という扱いを受けていますが、ランサムとマルタが家の壁を登るのを目撃しています。
しかし、二人ともぼけているから大丈夫とスルー。
家族は、実の息子が死んだナナに対して誰も慰めの言葉をかけないという始末。
周囲から年寄りだという理由でぞんざいな扱いを受けています。
先ほどアメリカ人の選民意識を風刺している映画と述べましたが、
年長者・古いものを軽視する傾向も、この映画で風刺されているのではないでしょうか。
ブノワが初めてナナに追悼の意を示したときに見せた涙は、老いたからといって決してなくならない、むしろ研ぎ澄まされていく彼女の息子への哀しみでした。
しかしそれだけではなく、罪を犯したランサムへの哀しみの涙でもあったんだと思います。
事件の日、曾孫ランサムを目撃した時、事件の真相に気づきつつも追及せず、ただ哀しみに耐えたナナに対して、家族は何ももたらさず、自らの利益を優先し続けました。
こうした裏テーマ的に風刺を織り交ぜる作風は、観ていて楽しいし、考察のしがいがありますね。
ナイブズ・アウトってどういう意味?
Knives Out は直訳すると「ナイフを出した状態」
危険な状態とか、臨戦態勢のような意味合いでも使われるようです。
- 凶器がナイフ
- 一つの事件をきっかけに家族内での争いが発生している状態
- 最後にナイフの刃がが出なかったこと
を踏まえたタイトルです。
続編情報
すでに全世界で3億ドル近い興行収入を達成している本作。
アメリカの配給会社ライオンズゲートのCEOも続編について前向きなコメントを出していることから、続編、さらにはシリーズ化の可能性が高そうです。
こんだけ面白くて、一話完結で映画作れるんだから、シリーズ化はしやすいですよね。
『ナイブズ・アウト』考察まとめ
超王道の洋館殺人事件ミステリー。
しかし、ユーモアある発言や、テンポの良い会話、裏テーマとしての選民意識への風刺など、かなり見ごたえのある作品です。
ミステリーは二度目鑑賞すると全く違う景色が見えてきます。
さらに詳細な考察を読みたい方は、映画ブロガーのまめもやしさんの記事を読んでみてください。
関連記事 【ネタバレ感想】映画『ナイブズアウト』の意味がもたらすもの/モブログ
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